6 火曜日

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星がよく見える。 銀河も宙翔も、天体観測がすきな両親が付けた名だ。 俺たちは左程興味を持たなかったのだけれど、時折やはり自分の名前の由来になったものを気にすることはある。 弟も同じだったら少しだけ嬉しいような気がする。 今日の夕食は、俺と母と弟の三人だった。 父は仕事が長引いている様子で連絡がこない。 食卓ではしきりに母が嬉しそうに話をしていた。 俺と弟の間に走る微妙な空気など物ともせずに話し続ける母は少し頼もしくも感じる。 二人で適当に相槌を打ちながら食事を進めているうちに父が息を切らしながら帰宅した。 「ああ、やっぱみんないる」 俺たちの姿を見て破顔すると、いそいそとスーツを脱いで食卓へと戻ってくる。 「昨日、久々に四人で飯を食べたろう。何だか懐かしい気分になってさ。今日もお前らは揃っているかなって思って頑張って仕事終わらせてきたんだぞ」 父の言葉にチラリと前方に座る弟を見る。 弟も同じ行動をとっていて、思いがけず視線が合ってしまった俺たちは慌てて逸らした。
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