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俺の隣に腰掛けた父が「おぉグラタンか」と嬉しそうに声を上げている。
食卓を去るタイミングを逃した様子の弟は顔を顰めてからサラダをつついていた。
今までは俺と母が先に食べ、帰りが遅い弟と父が後に食べるのが習慣になっていた。
出来る限り俺と顔を合わせたくない弟はひたすらに部活に打ち込んで、残業帰りの父と同じくらいに帰宅するのだ。
俺も俺で話すことなどないし、嫌な顔をされるのが分かっていたからその時間帯は部屋で過ごしていた。
あと五日。
家族団欒というにはまだ遠いけれど、少しでも俺の想像する『家族』に近づけたらいいと思う。
皆に、あと五日で死んでしまうことを伝えるかは慎重に考えないといけない。
笑顔の父と母、所在なさげにしている弟。
順々に顔を見つめたあとに、俺はまだ残るグラタンを口に運んだ。
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