プロローグ

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結局のところ、眼目 銀河(さっか ぎんが)という人間の人生はいったい何だったのだろうか。 俺は何のために産まれ、何のために生きてきて、そして死ぬのか。 あの時、彼女が俺に奇跡を与えてくれなければ俺の一生は酷くつまらないものだと感じたままこの世から消え去っていたのだろう。 後悔の渦に飲み込まれながら、生を受けたことを呪いながら死んでいったのだろう。 この一週間は、確かに俺にとってかけがえの無い時間となり、俺の人生に色を与え、多くの事を体験することが出来た。 俺が手に入れることが叶わないと諦めたあらゆるものを、この手に届けてくれた。 今なら理解できる。 俺は君に会うために産まれ、君とこの時間を過ごすために生きてきた。 そして、今日、俺は死を迎えるのだ。 期限は一週間。 一週間前に俺の夢に現れた天使はそう告げた。
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