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学生や社会人で混み合う電車に何とか体を捩じ込ませつつ、咲羅に三車両目にいる旨を連絡する。
これだけ混雑していたらゆっくり会話も出来ないし、そもそも咲羅は俺がいる場所まで辿り着けるのだろうか。
人の波に車内の真ん中まで押し寄せられながらぼんやりと思う。
そうだ、明日から少し早い電車で行くことを提案してみよう。
勝手なイメージだけれど、あいつは朝が得意で夜は早く寝そうだ。
早めの電車だったらゆとりがあって落ち着けるだろう。
次の駅で順番待ちをする咲羅の姿を確認したけれど、やはり混雑しているため合流することはできなかった。
仕方なく高校の最寄り駅まで人混みに揉まれながら時を過ごす。
こんな僅かな時間も勿体なく思えてしまう程に、焦燥感に襲われていた。
一分、一秒がとても尊いものに感じて、本当にこれで俺の残された時間の過ごし方は正しいのかと、不安が塊になって押し寄せてくる。
そして確実に接近してくる死という現実が不安を助長させるのだ。
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