6 火曜日

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二人で並んで高校までの道を歩いていく。 最近読んだ本の話をしながら、そういえば他人とこうして登校したり下校するのは初めてのことだと考えていた。 本当に友だちがいない人生だった。 俺のように病弱な人たちの中にももっと上手く世間と付き合っている人はいるのかな。 彗はどちらかと言えばそちらのタイプだったかもしれない。 病院でのあいつしか知らないから、学校ではどうだったのか想像でしかないけれど。 別れ際に早く小学校へ戻りたがっていた様子を見ると、友だちもいたのだろう。 そうやって、そのうち死ぬのだと分かりながらも、懸命に生きているのかな。 見方を変えてみれば、健康な人たちだって事故で突然死んでしまうことだってあるのだ。 俺は健康な人たちより少しだけ死が近いことしか変わりはないのかもしれない。 そういう考え方をして生きていけていたら、もっと俺の人生は違ったものになっていたのだろうか。 しかし過ぎてしまった時間は戻らないし、決定している事実は変えようがない。
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