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昇降口で咲羅と別れる。
名残惜しさを感じて頭を振った。
教室に入ると前の席の男子生徒がこちらを振り返る。
爽やかで整った顔をした男だった。
確か、昨日の帰り際に咲羅との関係を聞いてきたうちの一人だったかと思う。
彼の名前は何だったろうか。
「おはよう。眼目さ、あの先輩と付き合っているのか?」
「ぶっ.....ち、違う。昔の友人だって昨日言っただろう」
彼はその話題に完全に興味を失ったらしく、一つ頷くとすぐに話題を変えてきた。
「そういえば、おまえ部活は決めた? 俺は運動系で迷っているんだけれど」
「ああ、部活は.....」
星海学園は必ず部活動に所属するのが規則となっている。
咲羅も茶道部に幽霊部員として所属してるそうだ。
当然、俺も何かに所属しなければならなかったので入学する前に頭を悩ませていたのだが。
その必要性もなくなってしまって、今度は別の意味で頭を悩ませている。
最早、部活を選んでも六日後には死ぬのだから無意味なのだ。
「眼目は見たところ運動苦手そうだよな。そしたら文系?」
「ええと.....俺は.....」
どう答えて良いのか分からず、言葉が繋がらない。
しどろもどろになっているうちに担任教師が入ってきて会話は中断された。
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