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出欠確認で漸く彼の苗字が黒澤であったことを知る。
自己紹介の時に聞いたにも関わらず、下の名前は最後まで思い出すことが出来なかった。
他のクラスメイトの名前も、俺はまるで覚えていない。
別にそれでももう支障はないよな、と考えた後に虚しさがどっと襲ってきた。
もやもやとした胸の中をどうにかしたくて、担任教師の話を真剣に聞いていた。
内容は頭の中に辿り着く前に消えていって、朝のホームルームが終わっても結局虚しさは俺の中から出ていってくれなかった。
もしも。
もしも俺が生き続けられるとしたら。
いや、やめよう。
生きていたら何の部活に入ったいただろうかなんて、考えるだけ無駄だ。
無駄なことを考えても、虚しさが増えていくだけだ。
結局、この日の授業もほとんど頭に入ってこなくて、ノートは真っ白のままだった。
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