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「喫茶店のケーキのがいいな」
「やだよ、ああいうとこは苦手だ。コンビニで買って、昨日の神社で食う。はい決まり」
「もう。じゃあ一番美味しそうなの選ぼ」
すっかりネタバレのことを忘れた咲羅が楽しそうにどのコンビニのケーキにしようかスマートフォンで検索を始める。
それを横目で見ながら、俺は弁当を空けて食べ始めた。
暫くすると選び終わったらしい咲羅が俺に続いて弁当を空ける。
昨日も思ったが、俺のものと比べると随分こじんまりとした弁当だ。
普通の女の子はこんな程度で足りるのだろうか。
小学生の頃の彗を思い浮かべると、病院食を済ませたあとに売店でアイスやスイーツを買って食べていた気がする。
あいつはまた違う人種なのかもしれない。
白米の上に桜の花びらが乗って、苦い顔をする。
隣からは小さく笑い声が聞こえた。
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