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桜の季節ももうすぐ終わるのだろう。
俺たちの周りは花びらで溢れている。
「咲羅はいつも一人でここで飯食ってたのか?」
「うん、まぁ。だって.....お友だち、いないし。お昼休みの教室の楽しそうな雰囲気が苦手。私とみんなとは何だか一つの線を隔てて分けられている感覚が、昔からずっとするの」
俺は箸を止めて顔を彼女に向ける。
分かる、と言おうとしたのに声が出なかった。
咲羅が箸で玉子焼きをつついている。
口を尖らせながら、俯き加減で言葉を続けた。
「普通の人が羨ましいの。私とみんなの違うところは体が弱いところだけかもしれない。けれど、羨ましいの。病院にいてばかりで人と上手く喋れなくなってしまって、自分にも自信が持てない人間に育ってしまって。それは私が病弱に生まれたせいだけじゃないのは
分かっているのだけれど。でも、きっと私は一生あの中には入れない」
「.....うん、おなじだ」
「同じ? 銀河くんも、そう思う?」
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