第1章

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人の少ないバスプール バスはもうほとんどない その代わりにタクシーとか、自家用車とか その中に黒塗りの一台の車。 そこに寄りかかるスーツ姿の1人の男。 「おかえり。待ってた。」 「ただいまです。」 車に寄りかかったままタバコをふかしていたのは、青木裕也 3つ年上の社会人 高校を卒業後、就職した先輩 それなりにいい会社に入ったと聞いた 大人しいぶって、両手でカバンを持つ私 「おいで。」 優しく笑う先輩の声に促されるまま歩み寄る タバコの匂いが鼻をかすめた タバコを持っていない手で引き寄せられる そのまま唇を重ねられた ゆっくりと唇を離す私の口から発せられる言葉は皮肉 「誰かに見られたらどうするんですか・・・?」 「誰も見てないよ。」 そう言って不敵な笑みを見せる先輩 「ご飯食べた?」 「まだです。」 「じゃ、どこか行こっか。」
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