第1章

2/2
前へ
/2ページ
次へ
同僚と共に、地上を走る電車より会社に10分早く着くことが出来る地下鉄に乗っている時だった。 国内の地下鉄の駅の中で一番の最深部にあるという駅に電車が滑り込み、ドアが開いた正にその時、電車がひっくり返るのではと思う程の揺れに襲われる。 来る来ると言われながら来なかった関東大地震か? 揺れは数分続き唐突に止む。 「凄い揺れだったな」 「ああ、電車がひっくり返るかと思ったよ」 同僚と地震の恐怖を語り合っている時、遠くの方からゴオォォォォーーという地響きのような音が聞こえて来た。 同僚や周りの乗客達も音に気が付き周りを見渡した時、一方のトンネルから水が濁流となって噴き出す。 濁流に飲み込まれ意識が無くなる寸前私は思い出した、この地下鉄が川の下を通っていた事を。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加