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第9章 パンク登場!
「ミサキ、デコラゾンビって何だ?」
僕は気になって仕方なかった。
ゾンビは何も持ってないようだ。
「90年代末にシノラーってのが現れてね?妖精みたいなファッションのギャルなんだけどね?フェアリーデコラってスタイルを確立したのよ」
シノラーってのはレスラーみたいなものか?
用心しないといけないな!?
「KAWAII」
「可愛くねーよ!君、目ん玉ついてんの?」
原宿KAWAIIなんてオジサンには理解できないだろうな?
素材はチュール、ボトムスは下にドロワーズをつけ、透け感のあるワンピースでレイヤード、水玉模様のニーハイ、パステルカラーのラバーソールを履いている。
テディベアを肩から下げている。
デコラゾンビはテディベアを振り回し、投げつけた!
「マズイ!爆弾だ!」
プレッピー三郎が叫んだ。
ピコン、ピコン、ピコン……………………。
《爆弾》はまだ持っていない。
プレッピー三郎がナツミの盾になる。
ヒュゥゥゥゥンッ!!
ズガァァァァァンッ!!
「お兄ちゃん!!」
ナツミは《逃げる》を使った!
タタタタタッ!!
MITSUKOSHIのなかに避難した。
三郎がナツミの兄貴だったとはな?
僕はてっきりイケナイ関係だと思い込んでいた。
「ウチのオヤジは戦争で足を怪我して働けなかった、スッゴい貧乏でね?兄貴がいなかったらジュリアナにもいけなかった」
ナツミは嗚咽を噛み殺している。
ミサキがナツミの背中を優しく撫でている。
ミサキはグリコ森永事件が起きた頃は小学生だった。僕はミサキにトキメキを感じていた。
ダメだ!彼女に恋をしたらゾンビになってしまう。パンクスタイルの青年が近づいてきた。
鋲打ちの黒のレザージャケットにタイトパンツ、シルバーのアクセサリー。
「セックス・ピストルズみたい」
ミサキちゃん!ダメだよ、そんなこと言っちゃ!
パンクファッションが日本に浸透するのは78年以降だ。ゾンビじゃないから悪人ではなさそうだ。
「さっきスゴい音がしたな?」
男はフミヤってゆー。爆弾に詳しいらしく、起爆のタイミングの制御には時計、遠隔装置、センサー、レーダーなどが使われているらしい。
フミヤから鉄パイプ爆弾を渡された。形状が胡瓜に似ている。
「水道工事に使うパイプに火薬を詰め込んだんだ。信管に点火することによって起爆する、モタモタしてっとアンタもお釈迦になるからな?」
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