1人が本棚に入れています
本棚に追加
第5章 透明人間
シホはテレビ朝日に向かった。
ロビーには受付嬢がいる。
1人は須賀、もう1人は竹富ってゆーらしい。
シホよりかなり年下だ。
「可愛いお嬢ちゃんね?」
「ハァ?タメのクセになめてんの?」
須賀が凄んできた。
若く見えるのかしら?
ガキのクセに敬語くらい使えや!
「タメじゃねーし」
「え?どーみても高校生だろ?」
竹富が言った。
シホは幽霊やゾンビだけでなく人間とも会話が出来る。
須賀と竹富が目をまん丸くさせた。
「ヒェーッ!」
シホの足が幽霊みたく消えたのだ。
誰かがシホの悪口を言っているようだ。
シホは噂に左右されやすい幽霊なのだ。
いい噂が流れているときは人間になれるが、悪い噂が広まると幽霊になってしまう。
「クソッ!さっきのワンレンババァの仕業だな?」
思惑どおり、ナツミはプレッピーにシホの悪口を話していた。
「三郎さん、シホって知り合いがいるんだけどね?ソイツは三郎さんと同じく幽霊なんだけどね?テレビに出ようとしてるんだって?幽霊だから映るわけないじゃんね~?体と同じく頭んナカもスッカスッカなのかしらね?」
「そうなのかも知れないね?バカは困るんだよなぁ?きっと低学歴なんだろ?」
「九九もマトモに出来ないんだよ?」
シホの下半身は完全に消滅した。
「とっ、透明人間!?」と、竹富。
「ピンク・レディーの歌にあったわよね?」
須賀が内線に手を伸ばした。
「あっ?守衛さん?透明人間が現れたの!すぐに来て、香取慎吾?違うって、ドラマの話じゃない!」
話の内容からして守衛は須賀を信じてないようだ。『透明人間』ってドラマがあったっけな?
変なクスリ飲んだ香取が透明になっちゃう奴。
そんときに裸になっちゃうんじゃなかったっけ?
『裸で何が悪い!?』
クソッ!もっとワタシを馬鹿にしてくれよ!
このままじゃ捕まっちゃうよ!
「そりゃあバカだ、親もかなりの馬鹿なんだろうな?」
「三郎さんだって人のことは言えないでしょ?子供たちを悲しませたりして」
「仕方ないだろ?こっちだってオイルショックのせいで大変な目にあったんだ!今のところ死人も出てない、むしろ感謝してほしいくらいだ」
「大声で言わないでよ」
「誰も気づかないさ?怪人20面相がこんなところにいるなんてな?」
最初のコメントを投稿しよう!