第5章 透明人間

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第5章 透明人間

 シホはテレビ朝日に向かった。  ロビーには受付嬢がいる。  1人は須賀、もう1人は竹富ってゆーらしい。  シホよりかなり年下だ。 「可愛いお嬢ちゃんね?」 「ハァ?タメのクセになめてんの?」  須賀が凄んできた。  若く見えるのかしら?  ガキのクセに敬語くらい使えや! 「タメじゃねーし」   「え?どーみても高校生だろ?」  竹富が言った。  シホは幽霊やゾンビだけでなく人間とも会話が出来る。  須賀と竹富が目をまん丸くさせた。 「ヒェーッ!」  シホの足が幽霊みたく消えたのだ。  誰かがシホの悪口を言っているようだ。  シホは噂に左右されやすい幽霊なのだ。  いい噂が流れているときは人間になれるが、悪い噂が広まると幽霊になってしまう。 「クソッ!さっきのワンレンババァの仕業だな?」  思惑どおり、ナツミはプレッピーにシホの悪口を話していた。 「三郎さん、シホって知り合いがいるんだけどね?ソイツは三郎さんと同じく幽霊なんだけどね?テレビに出ようとしてるんだって?幽霊だから映るわけないじゃんね~?体と同じく頭んナカもスッカスッカなのかしらね?」 「そうなのかも知れないね?バカは困るんだよなぁ?きっと低学歴なんだろ?」 「九九もマトモに出来ないんだよ?」    シホの下半身は完全に消滅した。 「とっ、透明人間!?」と、竹富。 「ピンク・レディーの歌にあったわよね?」  須賀が内線に手を伸ばした。 「あっ?守衛さん?透明人間が現れたの!すぐに来て、香取慎吾?違うって、ドラマの話じゃない!」  話の内容からして守衛は須賀を信じてないようだ。『透明人間』ってドラマがあったっけな?  変なクスリ飲んだ香取が透明になっちゃう奴。  そんときに裸になっちゃうんじゃなかったっけ? 『裸で何が悪い!?』  クソッ!もっとワタシを馬鹿にしてくれよ!  このままじゃ捕まっちゃうよ!   「そりゃあバカだ、親もかなりの馬鹿なんだろうな?」 「三郎さんだって人のことは言えないでしょ?子供たちを悲しませたりして」 「仕方ないだろ?こっちだってオイルショックのせいで大変な目にあったんだ!今のところ死人も出てない、むしろ感謝してほしいくらいだ」 「大声で言わないでよ」 「誰も気づかないさ?怪人20面相がこんなところにいるなんてな?」    
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