手紙

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明日は君たちは大会だね。 なんか恥ずかしいけど伝えたいから書くね。 実は初めて君の音を聴いた時から一目置いてたんだ。 私と君の出会いは吹奏楽部に入部をしたばかりの、楽器決めの時だったね。 私は何度も全国大会にでれる中学の出身で、チューバをやってたけど、ある程度うまい自信はあったんだ。もちろん高校でも続けるつもりで、上手い吹奏楽部があるこの高校を選んでさ、もしかしたら私もコンクールにも出してもらえるかな、などと実は考えてたんだよ。 だけど君の音を聴いた途端、そんな自信は崩れ去った。基礎はしっかりしているし、なにより音色が綺麗なのに遠くまで響く芯のある音をだなって思った。 言い方悪いけどそこまで上の大会に進める学校出身ではないはずなのに、なんでこんなに上手いんだろう。私の中学三年間はなんだったんだろう。負けたって凄い思ったよ。 結局2人ともチューバになれてさ、いざ話してみると吹奏楽のことばっか話してて、私は知らないことばっかりで、なんか申し訳ないっていうか私の無知を思い知ったっていうか。 ついていけない事が多くて、曖昧な返事が多かったけどちゃんと聴いてはいるからね。というかオタクでいいなーなんて思ってる。何か1つに熱中できるのはとても良い事だと思うから。 それでオーディション、君は受かったのに私は落ちちゃって。落ちた事もそうだけど、‘やっぱそうだよね’って自分で思っちゃった事が凄い悔しかった。 正直ね、今でもコンクール曲を演奏する意味を見ると悔しさが込み上げてくるんだよ。引きずり過ぎだね。まあ悔しいもんは悔しからしょうがないね。 こんな愚痴みたいな内容でごめんよ。でもちゃんと応援してるから。次の大会は見に行けない事になっちゃって残念だけど君や先輩たちなら上手く演奏できるってちゃんと信じてるから。だから、一生に何度も体験できないコンクールでの演奏を楽しんできてね! 追記 来年のコンクールは私も絶対でてやるので。もちろん私は君の左側に座って見せるけどね。
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