背中を押して

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私には好きな人が居る。同じ陸上部の先輩だ。大人になってしまえば一つ歳が違うことなんて気にならないのに、まだ高校生の私に学年の壁は大きすぎる。だから片思い。見てるだけ。今日も先輩かっこいいな。 「おーい、片桐ー。よそ見してないでちゃんと走れー」 先生に怒られちゃった。仕方ない。後は真面目に走るとしますか。 『それでさ、いつ告白すんの』 家に帰って携帯を確認するとこんなメッセージが送られて来ていた。そういえば昨日も相談してたんだった。 『チキンがそんな事言える身分なんですか』 この人前々から告白する勇気なんてないけど、付き合いという気持ちが無いのではなくネットで相談してたら出会った人だ。 『チキンなだけましだね。そっちなんてまだ成長すらしてないひよこちゃんだろ』 この人も好きな人がいるらしいが告白できないでいる。私と同じなのにいっつもああ言えばこう言う。本当にうざい。 『まあ、さっさと成長して告白する気くらい持てよ。好きな人先輩なんだろ?早く意志固めねーと先に卒業しちまうぞ』 ただこう言う風にちゃんと励ましてくれるから今だに相談したりされたりしてんだけどね。
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