背中を押して

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それから何日も経ったある日、珍しくアイツからメッセージが来た。 『好きな人に俺じゃない好きな人がいるってはっきりわかったんだけど』 しかも弱ってると来た。明日は全然そんな季節じゃないけど雪でも降ってくるかもしれない。 『あらチキンさん。私に上から言い続けてきた割に随分弱気じゃない』 『そりゃ、告白してもオッケーしてもらえないってわかれば、傷つくに決まってんだろ』 『そんなん、言ってみなきゃわかんないじゃん』 『俺は好きじゃない人に告白されてオッケーするような女を好きになった覚えはない』 『もしかしたらあんたに振り向いてもらえないから別の人を好きになったのかもしれないよ』 『そんな都合のいい話あるか』 『まあまあ、言ってみなきゃわかんないじゃん』 『その言葉1番お前に言われたくなかったよ』 そこで気がついた。今日の私今まであいつに言われたようなことしか言ってない。 なんだ。私が悩んでた事ってこんな事だったんだ。誰かに言って初めて気がつくなんてちょっと恥ずかしいな。そしてあいつにちゃんと言わないと。 『ありがとう!あんたのお陰でひよこからチキンくらいにはなれそう!もしかしたら告白までできちゃうかも!本当にありがとう!!』 『は?いきなり何言ってんの?まあお前は結局変われたのか。おめでとう』 確かにそうだわ。でもいいや。なんか今はどんなことも前向きに捉えられる気がする。そしてそんな私が何かあいつに言うとしたら。 『あんたもさっさと変わっちゃいな!あんだけ私に言えたんだし大丈夫だよ!』 こんな感じかな。そして待ってろよ、先輩!
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