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今でも時々思い出す。隣の男の子との楽しかった思い出。
隣の家とは家族ぐるみで仲が良く、その家の同い年の男の子とは兄弟のようにいつも一緒に遊んでいた。
けれど小学生のころ父が転勤することになり、いつまでも一緒だと思ってた男の子とは別れなくちゃいけなくたった。
そしてやってきた別れの日、笑顔で別れるつもりだった。なのになんだか二度と会えない気がして泣いしまった。
「嫌だよ。別れたくないよ」
泣きじゃくる私の右手を取った男の子は薬指に指輪をはめ「10年後、絶対に迎えに行くから。そしたらその指輪を左手にはめされてくれ」そういって同じ物を右手に輝かせながら笑った。
*****
思い出したところで、あの日々が帰ってくるわけじゃないのにな。そう思いながらため息を吐く。
その後父は転勤が続き、お陰で友達と呼べる人はできず、やっと安定した大学でも友達の作り方をすっかり忘れてた私に友達なんていない。要は今の私はぼっちだった。
そんな私には密かな楽しみがある。それは彼のツイッターをこっそり見ることだ。
たまたま見つけて、あの街でまだ元気に生活してるのが嬉しくて時々見いる。
でも女の子と仲良くしてる写真を見たときはショックだった。もちろん指輪はしていない。
だから指輪はその時までは肌見放さず持っていたが仕舞う事にした。次の出会いを探すため。
……男の子をもう忘れるため。
そしてまた何気なく見た彼のツイッター。
数時間前にされたツイート。そこにはあの指輪の写真と「ごめん。見つけられなかった。だから今日はいつも遊んだあの公園でずっと待つよ」という一言。
そう、今日はあの日からちょうど10年経った日だった。
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