バス

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家が建ち並んではいるが、バスに乗れば9割おじいちゃんおじいちゃん、そんな田舎町。高校進学と共に私はそんな町に引っ越して来た。 あまりにも何も無くてまともに恋すらできないと思っていた矢先、気になる人ができた。通学中いつも同じ左前の席に座っている少年だ。 どこのかわからない時代遅れな気がする制服を着て、ガラケーを使っていて、とにかく「ちょっと時代遅れ」が似合う少年だ。 少し前に話かけてみたが全く反応が無くて更に気になるようになった。 これってもしや好きって事なの?そこでまずは学校を知ろうと友だちに尋ねてみた。返答は「10年前のここの制服じゃないかな?」というものだった。 ならばあの少年はコスプレ少年なのかと疑問に思い、バスでの出来事を話した。すると友だちは何個か質問を私にしたのちある新聞の記事を見せてくれた。10年前に私が乗ってる時間帯のバスが交通事故にあい、ここの生徒が亡くなったというもの。 その生徒は私が気になっていた彼。そしてバスが事故にあってから明日でちょうど10年。 次の日の朝、いつも通りの時間にバスに乗り込む。いつも通り少年は同じ場所に座っていた。彼は生きてると思いたくて話かけてみたが、やはり反応はない。せっかく好きな人ができたかもしれないのに。 はあ。やっぱり彼は。落胆していると急に視界が揺れた。するとバスの左側から前方あたりにかけて潰れていた。かなりの事故なはずなのに私は全く衝撃を感じない。まるで幽霊にでもなった気分だった。 けれど彼は事故の影響を受けていて。血まみれになりそれでも生きようとする彼。しかし彼から流れ出る血液がもう死ぬことを物語っていた。 「ーーーー」 そんな中彼は私に何かを言ったような気がした。 気がついたら私は下りるバス停についていた。どうやら事故は幻覚だったようだ。それでも耐えきれず急いでバスを降りた私はその場で吐いた。周りの目も気にせずとにかく吐いた。しかし目があった時の彼の顔まで吐き出すことはできなかった。彼は何って言ったの? 次の日、また同じ時間のバスに乗ると、同じ場所に彼は座っていた。 こうしてバスは走り出す。
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