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「……ただいま」
声が上ずらないように、細心の注意を払って絞り出した声はやはりまだ不安定に揺れている。
ややあって、ぽとりと声がした。
「お帰り」
何の色もない。硬質で無機質な音。
歓迎しているのか疎んでいるのか。
何となく後者な気がするのは、ヨウスケに引け目があるからなのかもしれない。
「上がってもいい?」
無言で頷き、先程投げつけたお玉を回収した母親は、周りを気にするように首を振った。
玄関へ入ると、懐かしさを感じる間もなく引き戸がピシャッと閉められる。
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