第1章 祭りの界隈

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仏壇に写真が飾られている。 その意味に気づくまで、理解するまで、やや時間がかかった。 まあ、理解したところで、言葉は出なかったが。 カチャと食器が揺れる音がして、母親が居間に入ってくる。 「座られ」 そう言われ、やっと立っていることに気づいたヨウスケは、言われたとおり腰を下ろした。 母がお茶をいれてくれる。急須でいれたお茶は、少し濁った緑だった。 ヨウスケは、とりあえず1杯飲んで唇を濡らすと、深く息を吸った。 「お父さんね、7年前にね」
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