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大きな声で彼女は叫んだ。テレビで見たことあるけど、本当にいるんだな。私が触ってもいないのにそう叫ぶ。そして周りはその声の反動に騒がしくなる。こういう場合は……。
「やってません!!私じゃないです」
その女子高生はにやりと笑い、手を差し出す。
「なら、その手にあるスマホを見せてもらえませんか?」
私はこういう手段を知っている。痴漢をした(本当はしてない)相手にスマホをもらい、連絡先を奪う手段だ。だから私は……。
「嫌です」
「見せられないの?撮ったからですね」
これは何を言っても無駄だ。私は逃げることにした。いや、待て……逃げられないじゃないか!!
誰か助けて下さい、と私が思った時だった。
「あー、もう。やってらんねぇよ。オトドケ様。ばらまいちゃっていいっすよね?」
その声は反対側から聞こえた。
ばらまく?何をだ?
その時だった。急に停電が起こった。
地下鉄内で真っ暗になるその場所。
「おっ、合図だ。では、あの世へ……」
何かがこぼれる音が周りでする。
「おい、下が濡れてるぞ?誰か明をつけろよ。スマホのライトだ……」
地下鉄内であらゆる所からライトの光が付く。
「何でだよ……オトドケ様……」
反対側から涙声が聞こえる。
「サリンとか毒薬じゃないのかよ。これって何も臭わないし誰も死なないじゃないか!!」
「おい、貴様!!何する気だったんだ!!」
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