暗闇の地下鉄

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反対側で言葉のぶつかり合いが激しくなる。そのせいか車内が暑い。 「やめてくださいよ。部屋が暑くなるだけじゃないですか?それにその……名前忘れたけどあなたを生かされただけありがたいじゃないですか?もちろん、私たちだって安心はできないけどまだ生かせてもらえてるのは感謝します。でも、一番私たちの目的となることがあるでしょ?」 私はそう大声で言った。暑いのが嫌だったからだ。 すると目の前にいた私に「痴漢」と言っていた女子高生が静かに涙をこぼしていた。どうやら彼女にも響いたようだ。 「そうだな、ひとまずは……こいつを殺すか?」 その声は先ほどから反対側で怒鳴ってる人の声だった。 「なんで……そうなるの?みんなでここから脱出しようとかならないの?」 女子高生はそう言った。 「そうだそうだ」と言ったように周りも言う。 「すまなかった。そうしよう」と反対側の怒鳴ってる人も言った。 さて、どうするか。自動ドアもアナウンスも何も起きない。復旧を待つか。 近くにいた女性が言う。 「あれ、運転手さんじゃない?なんかおいでおいでみたいなことしてるけど?」 つまり復旧せずに出ろということか。運転手が出ているってことは安全なのか?周りの客も騒がしい。 「外に出るってどうやって?」     
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