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「あんた……バッカじゃないの?」
女子高生は反論した。私は心の中で思った。
おい、やめとけよ……と。
「は?」
「そんなんで救える?あなたもあのままいたら死んでたのよ?」
「死=救うだったら……」
「そうね、でもあなた……今歩く感覚や息を吸ってる感覚なんてすべて消えてしまうの。それが死ぬってことよ」
やつれた男性は女子高生に襲いかかろうとした。その時だった。
「わりぃ。足が滑った」
そこにいたのは怖い顔をした男だった。そしてジャンバーの懐から手帳を見せる。
「お客さん、刑事さんでしたか」
運転手はお辞儀しながら言う。
「あぁ、いかにも。駅に着いたらこいつを地獄にぶち込む。ちなみに俺は……」
「お父さん!!」
痴漢と叫んでいた女子高生はそう言った。そう言われると、二人はなんとなく似ている。
「お前、誰だ?痴漢をしてない奴に痴漢と叫ぶ娘なんて育てたことないぞ」
「おとう……」
泣きじゃくる女子高生。
「そういうわけだから、今回娘がやったことを許してやって欲しい。俺もあの時、止めるつもりではいたが、まさかこんなことになるとはな」
「娘って言ってますよ……」
「いや、間違えた。あの女を……」
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