第二話 桐の花が見頃だった

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藤の花。イメージできる女性は着物の似合う和風美人。 しっとりと艶めかしい美女。といったところだろうか。 風呂上がりの美女も想像出来て、何とも艶めかしい…。 まず、男性ならほぼ夢中になるだろう。 …また、藤の木は蛇のように絡みつくあたり。 そこから連想されるのは 「女の情念」 これである。 イメージだけでなく、実際に「蛇」がよく絡みついているのだ。 「蛇」嫉妬や恨み、呪いの象徴。 その反面、「神」の化身として崇める習慣もある。 まさに、「藤壺の宮」そのままではないか! 源氏物語の作中を通し、ある種の念を感じるのは 作品のベースに藤壺の宮が流れているからかもしれない。 更に言えば、「情念」と言っても女性ばかりではない。 男性の情念も絡んでくる。 男性の情念…愛する女性への想い、源氏の君への嫉妬と怒り。 あたかも複雑に絡み合う「藤の枝」のように…。 『…そこまで読みとって頂けたなら本望ですよ。 私は既にこの世にはいません。解釈は読み手に委ねていますしね』 心なしか、少し寂し気な声が響く。 私は、彼女に一番聞いてみたい事を思い切って尋ねてみる事にした。 …風が再び優しくそよぐ。私の髪と頬を、優しく撫でていく…。 image=505759364.jpg
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