第四話 源氏の君に恋して

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それらの劣等感全ての『こたえ』は、 至ってシンプルなものであった。 だから、開き直って楽しんで書く! (はい!楽しみます!有難うございます。 今、「紫の上異聞」「朧月夜異聞」を短編で描かせて頂きました。 「末摘花異聞」は長編です。夏くらいにまた、新しいお話を。 秋ぐらいにもまた。色々、色々描かせて頂きたいです!!!) 溢れる涙もそのままに、言葉を連ねる。 『楽しんでね!源氏物語、沢山の女性が出て来るでしょう? 皆、女性なら誰か一人、登場人物に自らを当てはめて楽しめるのよね』 と、彼女は照れたように笑った。 (有難うございます。楽しんで描かせて頂きます) 私は深々と頭を下げた。 …風は再び、私の全身を包み込むようにして優しくそよぐ… 『…迷ったら、いつでもいらっしゃい。楽しんでね』 風は止んだ。 彼女は去ったようだ。私はもう一度頭を下げた。 そして、お隣の「小野篁」のお墓にも手を合わせる。 …実は、秘かに彼をモデルにした作品を近々公開したいのだ。 よって、彼からの言葉は果たして… については、その際にお話しようと思う。 私はその場所を後にした。 宿は取ってある。戻るのはまだ早い。 ブラブラと足の向くまま、京の町を散策してみよう。行き当たりばったりもまた、楽しいものだ。 描きたい!描きたい!! 歩きながらも、胸の底から熱い想いが込み上げてくる。 これからも私は「源氏物語異聞シリーズ」を書き続けていくだろう。 描き続ける事で、紫式部と会話をしているような、 そんな気分に浸りながら。 そして描き続けていく内にいつの日か、 彼女が本当に描きたかったお話。 その「こたえ」が見えてくる。そんな錯覚に陥りながら。 源氏物語。 もしかしたら…光源氏は表向きの主人公で、真の主人公は、 登場する数多くの女性達なのかもしれない。 そんな風にも思えてくる。 …もう、すっかり源氏の君の虜だ… 我に返り、そんな自分に苦笑しつつ。 宿に戻ったら、これらの事を短編小説にしてみよう。 そして2つの新作のプロットを練ろう。 …行き詰ったら、また尋ねてみようか。彼女の眠る場所に。 地下鉄に乗って。 ~完~ image=505759318.jpg
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