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美優は恭介の言葉には疑いもなく従順だ。
ーーどうしよう。あのお水から目を離しちゃった。あの食べ物も、あれも。たべちゃだめってことよね。
言いつけをちゃんと守る良い子なのである。
ーーおなかすいちゃった。恭介さんまだかなぁ。
目の前の唐揚げやサラダやポテトが美優を誘惑するが、お預けをくらった犬のように切ない眼差しでそれをガン見するしかできなかった。
「……食べ辛え。何であの子食べないの?」
お腹をぎゅるぎゅる鳴らせ、涙目で食べ物を見つめる少女の目の前で、箸を取る勇気は彼らにはなかった。
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