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「ねぇ、ツバメホテル行かない?」
木々が生い茂る暗く細い道を走りながら、バックミラーも見ずに源は言った。もうあのホテルに通うのはやめていた。あそこにこだわる理由もなくなったし、見れば残像が浮かんで寂しくなる。
「やだ」私は即答した。
最後の夜に、わざわざ寂しさを増やしたくない。
「行こうよ、茜ちゃん」
珍しい。彼が私の意に反した事を押し通そうとするのは。仕方なく「いいよ」と短く返事をした。
普通のラブホテルに戻った建物に辿り着く。下を向きながら歩き、以前と同じ経由で部屋に入った。
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