14.実力測定という名の

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では、何に不安なのか。もちろん、それは── 「──あの、その魔物ってどんな奴なの?」 対戦相手のちょっとした(・・・・・・)魔物。やはり、どうしてもその言い方が気になる。 私の質問に、同じ笑顔で答えるクライシュ。 「コウちゃんも知ってる魔物っす!!なんせ、初心者の壁とも言われている魔物っすから!」 「・・・・・初心者の壁?」 名前は? と試しに聞いてみると、意外にもあっさりとその答えは出された。 「ゴブリンっす」 ふむ、と私は小さい腕を組む。名前を聞いてすぐに、その姿は思い出された。 ───・・・・・確かに有名な魔物だな。 緑色の肌、逞しい筋肉に巨大な犬歯。武器は棍棒を使う。 子を作るために他種族のメスを襲うので、ある(・・)ネタにされる事もしばしば。 因みに一般的なゴブリンの知能は低く、人型だが言語はない。単体では弱く、群れで生活している。 ──以上が私の中でのゴブリンの知識だ。 スライムに並んでポピュラーな魔物、という位置づけで、初心者が戦っているイメージがある。 〝初心者の壁〟と言っても、あながち間違いではなさそうだ。 小型のドラゴンかもしれない、と構えていた身体の力が一気に抜け、安心感が溢れ出る。 本当にちょっとした魔物だった。自分の力を過信している訳では無いが、苦戦はしないだろう。 自分で自身の実力を測る───この点では、アルマダと軽く戦ってみてよかったのかもしれない。 私は顔を綻ばせる。──やっと安心が出来る。 「わぁ、知っている魔物だ!もしかして、それだけでおしまい?」 ───もちろん、これだけ(・・・・)ならばな。 微かな希望を求めてクライシュを見ると、 「いやいや、そんな訳ないっす」 そして、その後に他の魔物も試す予定っすよ、と鬼畜過ぎるお言葉。 「小手調べってことで、まずは1体だけっすね。ま、気楽に構えてていいっすよ!」 ───そんな貴方の輝く笑顔が今は憎いです。 ・・・・・どうしよう、全くもって気楽に構えないのだが。 それにもう『予定』って言っちゃってるし。
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