14.実力測定という名の

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──────────── どこまでやらせられる(・・・・・・)のだろう、という不安を抱えた状態で外へと出た。 やや朱が入った空の下、レンガの道に沿って歩く。 花のような模様の入った道を見つつ、 「・・・・・訓練所ってまだ?」 「施設の関係上、ちょっと遠いんすよ・・・・・」 そう言うクライシュも不満げだ。 ようやく着いた頃には、大分夕焼けも濃くなっていた。 「着いたっす」 ほら、とクライシュが示した先には、石レンガ造りの立派な建物。 宿舎もあるようで、横には別の建物も建っている。 私は小さい身体を反らし、それを見上げた。 「おおーおっきいねぇ、今も訓練中?」 「いや、今は──」 ──ズドンッ クライシュの声が、一際大きな地響きによって途切れる。足下から伝わる音で、無意識に地面を見つめてしまった。 ───間違いない、音はここから・・・・・ 強化された聴力が、地面の下からの音を伝える。──と、地響きだけでなく、人の声や剣の交わる金属音も微かに聞こえた。 思い当たる可能性は一つ。 「地下?」 訝しげな表情のまま、クライシュは頷く。解せない、とばかりに腕を組んで難しい顔をしている。 「──ええ、その通りっす。でも、妙っすね・・・・・こんなに音が聞こえるなんて」 「普段は聞こえないの?」 「かなり頑丈な造りなので、こんなに大きな音が聞こえたのは久しぶりっす」 クライシュが言うには、この地下には第2の訓練所の他に、とある娯楽施設があるらしい。 午後になると、騎士たちはそこで何か(・・)を楽しむという。 「──何かってなぁに?」 「それは着いてからのお楽しみっす」 肝心の何か(・・)というのがわからないまま、私達2人は地下へと向かう。
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