14.実力測定という名の

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ふむ、と考え込んでいると、クライシュが説明してくれた。 「この模擬闘技場は、王宮召喚師の所有する魔物との訓練の為の施設っす。危なくなったら召喚師が何とかしてくれるので、安全に実践訓練が出来るんすよ」 ま、多少の怪我は仕方がないんすけど──苦笑いで言うクライシュ。 なるほど、と私は視線を落とす。 戦闘を行える魔物は限られるものの、比較的安全に実践を行えるのは大きい。 ───それに、こうして娯楽として楽しめているのはいい事だ。 「くっそぉおおお!!!」 突然、叫び声が聞こえた。と、同時に下方から風。 どうしたどうした、と見下ろす。──その光景に息を呑んだ。 飛び上がり、突き刺そうとする男性の剣を力づくで逸らし、血走った眼光で唸る魔物。 毛深い足に力を込めると、地を抉るようにその足を動かす。 ──ゼロ距離からの突進だ。恐らく回避は不可能。 観念したように男性が構えを解くと、歓声に割り込むように強い声が響き渡った。 声を発したのは観戦席にいた青年である。 「そこまで!!」 男性に向けられる巨大な牙──それが届く前に、音もなく魔物は消えた。 後に残ったのは、砂ぼこりが舞う地の上に腰を抜かした騎士団員1人。 観戦席から笑い声と共に野次が飛ぶ。 「まぁた、負けたのかよ──だっせえな!!」 「たかがファンドドス一頭だけに、何手こずってるんだよ!」 軽い調子で言われた言葉に、同じように笑顔を見せながら男性は返す。 「うっせー!!次こそ勝ってやるからな!!」 その表情は達成感に満ちていた。足を引きずりながらも、奥の通路へと消えてゆく。 その姿が完全に見えなくなると、楽しそうに見ていたクライシュが小声で話しだした。 「あの魔物──ファンドトスって言うんすけど。単体ランクはA、ソロだとなかなかの強敵っすよ」 へぇ、と言いつつ私は腕を組む。 クライシュが戦闘の特徴云々を話し始めるが、それを無視した。 ───・・・・・聞いたことがない名前だな。 ゴブリンやスライムのように、ポピュラーな魔物ではないのかもしれない。 ──この世界特有の魔物、という可能性もある。 「・・・・・その点私は安心かな、ゴブリンだし」 ほっと安心していると、再びあの青年が声を張り上げた。
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