14.実力測定という名の

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「えー次の相手は──といきたい所です・・・・・が!! ここで、スペシャルゲスト(・・・・・・・・)をご紹介したいと思います」 そう言うと眼鏡をくいっと上げる青年。その奥の視線は、しっかりとこちらを見ていた。 ぎょっとした私は無意識に後ずさる。 ・・・・・嫌な予感がする。 「──コーウーちゃん」 聞き覚えのある楽しそうな声──と、次の瞬間、ガシッとその腕を誰かが掴んだ。 きりきりと腕の骨が軋むような音が聞こえた気がする。 「逃げちゃダメっすよ?」 腰を屈めて、クライシュは優しく微笑む。──が、今の私にとってそれは、悪魔の微笑みにしか見えない。 「・・・・・いやいや、だって〝スペシャルゲスト〟ってなに。聞いてないって」 そう影でこっそり文句を言っても、「だって言ってないっすもん」とさらりと返される。 ・・・・・それはずるい、それはずるいぞ。こんな大々的に紹介して何がしたいというのか。 いい所って、やっぱり嘘だったのか。 まるで見世物じゃないか卑怯者──そう言いたいのをぐっと堪えた。 代わりに目線でそれを訴える・・・・・が、意味は無いらしい。ニコニコと機嫌が良さげなクライシュに、頭を撫でられた。 「来ちゃったもんは仕方ないっすよ。ね?」 そして、私の手を軽く引くクライシュ。 ・・・・・不服だが、クライシュの言う通りだろう。 「・・・・・子供扱いするな」 精一杯の強がりで渋々前へと出ると、バッと全員の視線が突き刺さる。 四方八方から観察されるような目つき──それだけで精神が疲弊した。 ───ショーの時もそうだったが、注目されるというのはあまり得意ではないというのに。 重い表情の私とは対照的に、眼鏡の青年は明るい顔で高々と片手を上げる。 「えー皆様もご存知かとは思いますが、クライシュさんが来てくれましたー・・・・・拍手!!」 「「うぉおおおお!!」」 拍手ではなく野太い雄叫び。クライシュは手を振ることで、それに応じる。 ──取り敢えずこのやり取りで、クライシュが人気だということだけはわかった。 ・・・・・心の底からどうでもいい。
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