15.戦闘

2/7
前へ
/387ページ
次へ
フィールドの中心へと向かったコウを見送り、クライシュは〝計算通り〟だとほくそ笑む。 ウェルバートからの指示ではあったが、無事にここへと連れ込む事が出来て良かった。 失敗回避からの安堵感で、強ばっていた身体の力が抜ける。 「・・・・・これでひとまず安心っすね」 初めはどうなるかと思っていた監視だが、時が経つにつれて身体も順応したらしい。 多少の気分の悪さはあるものの、あの時のような激しい吐き気などはない。 ──この程度なら、これからも監視役を続けていく事が出来るだろう。 手すりにゆったりともたれ掛かり、微笑むクライシュ。安心感からか、その表情は今までよりも柔らかい。 そんなクライシュに話しかける者がいた。側の観戦席に座っていた騎士団員の1人である。 彼は数人の騎士団員と共に立ち上がると、クライシュを扉の外へ行くよう促した。 「──クライシュさん、本当に次の相手はあの子供なんですか・・・・・!?」 バタン、と扉が閉じられた瞬間の第一声はソレだった。 丁寧な言葉ではあるが強い口調。 焦って訴えかけるように言うその台詞に、クライシュは首を傾げた。 これは事前に打ち合わせをした(・・・・・・・・・・・)計画の筈だ。何故、そこまで乱れているのだろうか。 ───・・・・・ちゃんと、全員と打ち合わせをした筈なんすけどねぇ・・・・・? それが1人ならば、何かの間違いということもあっただろう。 「・・・・・ちょーっと、これはおかしいっすね」 ──だが、それは1人だけではなかった。見ると、周りにいる騎士団員全員が、困惑した表情を浮かべている。 再度、騎士団員が念を押してきた。 「本当に本当に本当に!! 次は、クライシュさんじゃないんですか!?」 しつこい質問にクライシュは顔を顰める。流石にこれにはウザイと思ってしまった。 げんなりとした顔で、確認の為の質問を返す。 「───間違いなく相手はあの子っすけど? ・・・・・ゴブリンを召喚するって話っすよね」 〝子供を連れてきた次の相手はゴブリン〟 それで戦わせる段取りだった筈だ。倒せたら次、倒せたら次という連戦で。 これには勿論重要人物であるノノも参加していた筈。 ───まさか、また(・・)ノノが何か・・・・・
/387ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5933人が本棚に入れています
本棚に追加