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飛び退くその瞬間、地面にクレーターに似た跡が出来た。
揺れる地面によろめく足。
「っ──それよりも、何とかしなくちゃ・・・・・」
それを身体能力の高さで強引に立て直す。
──刹那、近くで唸る衝撃音に、冷や汗が垂れた。
───初めから難易度高すぎだって・・・・・。ああ、私のゴブリンはどこに・・・・・
ここはもう魔素を使うしかない。──上手く扱えるかは不安だが、この際気にしていられないだろう。
・・・・・なぜなら、仕掛け人も、主催者も何故か居ないのだから。
───後で文句を言ってやろう、うん。
私は尚も追撃の手を止めない魔物から一旦距離を置き、その全体を視界内に収める。
肩の力を抜くと、私は手を構えた。
「───《魔素変換》」
広げた手の平の向こうから、魔物がこちらへ向かって来ているのが見える。
しかし、私はその場から逃げずに対峙する。
手の平から、目の前に広がる黒い魔素。黒々と渦巻くソレが、体内から溢れて止まらない。
それはアルマダの時の比ではない。その数倍、いやそれ以上かもしれない。
───・・・・・ああ、ダメかもなぁ。
なのに、自分でも驚くくらい冷静だ。まるで、映画を見ているように。
──やがてフィールド全体が黒に染まった時、思い出したかのように私は口を開く。
「《炎》」
静かに放った言葉。
──瞬間、全てが眩しく照らされた。
「・・・・・・・・ぁ」
それは全て私を中心に。
生じた衝撃波がドーム状の〝膜〟を壊し、フィールドの外壁にヒビをいれる。
津波のように暴れる爆風。
目も開けられないほどの閃光が、空間を埋めつくし、容赦ない熱風がフィールド内を荒れ狂う。
攻撃の構えをとっていた魔物は炎に包まれ、その身を燃やす。肉が焦げた臭いが鼻をついた。
──いや、『炎』なんて表現では生ぬるい。それは地獄の業火を思わせるもモノ。
魔物だけではない。──業火はフィールド全体を覆った。花びらのように舞い散る火の粉が、観客席へと降り注ぐ。
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