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大きな窓から朝日が差し込む──
山積みの書類を処理するウェルバートの前で、私は仁王立ちで抗議していた。壁際には、ノノとクライシュが待機している。
「───流石にアレは〝やり過ぎ〟というものですよね、皇帝様?」
「そうか? あれくらい対処出来ないと、飼う価値がないと思うが」
そうしれっと言い返すのは、あの出来事の本当の黒幕である。
──闘技場で意識を失った後、すぐにクライシュは来た。そこで、倒れている私を見つけ部屋に運んだ後、騎士団員たちに事情を聞いたという。
損傷はあるものの、不思議な事に鎮火はされていたらしい。もしかしたら、意識を失えば本当に消えるのかもしれない。
避難した騎士団員とばったり出会うクライシュ。ただ事ではない様子に、珍しくクライシュも焦った。
そうして、クライシュは何が起きていたのかを知る。──おまけにノノの勘違いも。
〝あの魔物の相手は副団長であるクライシュ〟
ノノはそう記憶していた──が、勿論そんなことは話していない。
やはり、この一件もノノのおっちょこちょいが原因──初めは全員そう思っていた。
が、その予測はノノの発言によって崩される事となる。
『え? それ、ウェルバート様から言われたんだけど・・・・・』
あの事件の当日、ウェルバートに呼び出されていなかったノノは、キョトンとした顔で言った。
相手はクライシュだから遠慮しなくてもいい、と。
だからゴブリンじゃなくてもいい、と──
その結果がアレだった。
遠慮しなくていい──その言葉に従ったノノが召喚したのは、秘蔵中の秘蔵であるSランクの魔物。
──召喚出来る魔物の中では、最高ランクの魔物。
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