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全額負担とはいかなくても、少しくらい減額してくれてもいいんじゃないか・・・・・──そんな思いを胸に、私は息を吐き出した。
全く、これからの生活が心配で心配で仕方がない。
「これからどうするんすか?」
横を向けば、首を傾げるクライシュ。お昼までには大分時間が余っている。
昨日一日は案内+αだけで終わってしまったから、今日こそは調べ物をしたい。
・・・・・昨日の化け物との戦い。──召喚されたオークは私に倒され、ノノの召喚本から存在を消した。
それを知った時のノノの顔を、私は忘れないだろう。・・・・・流石に少し可哀想だった。
───・・・・・それと。
意識を失う直前の謎の声。あの声がどうも気になる──・・・
「・・・・・考えても仕方ない、か」
モヤモヤとした気持ちを抑え、ムスッとした顔のまま私はクライシュの方に顔を向ける。
「図書室に行こ」
「んじゃ、こっちっすね!」
そう言うクライシュは嬉しそうに笑みを零していた。
自然と繋がれた手は、なされるがままに引かれていく。
その背中をぼんやりと眺めながら思った。
───結局行けてなかったしな・・・・・ウェルバートのせいで。
結局、クライシュが騙していたわけではなく、全てはウェルバートが仕組んだものだった。
今回の件では、ノノもクライシュも言わば被害者──私と同じである。
───あの言葉は嘘じゃなかった・・・・・疑って申し訳なかったな。
少しの罪悪感に、自然と眉尻が下がる。
・・・・・昨日の件で、ある程度の人物像が掴めたような気がする。
とにかく何より重要な事は、ウェルバートが思いの外『鬼畜』だという事だ。──幼女にも容赦がない。
しみじみと私は呟いた。
「・・・・・生きるって大変だね」
「・・・・・、子供が言う台詞じゃないっすよ、絶対」
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