16.出会い

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目的地である図書室は意外にも近くにあった。ウェルバートの仕事部屋らしき場所からなんと徒歩3分。 散々と歩き回った昨日とは違い、あまり歩かずに済んだのはとても嬉しい。 「じゃあ、昼食時になったら呼ぶっすね」 「・・・・・うん」 そう言い残し、クライシュは出入り口で立ち止まる。対して私は生返事を返しつつ、その(そび)え立つ本棚(やま)に心を震わせていた。 ───・・・・・本棚、だよね・・・ 数千、いや数万冊はあるかもしれない。 ビッシリと本が詰め込まれた本棚、それも部屋の中に幾つも──まるで迷路のようだ。 自身が小さいからなのか、余計に大きく感じてしまう。 「・・・・・王宮だし、多い事くらい予想はしていたけど・・・」 ここまでとは、と絶句。 目的の本を探すことで一日が終わりそうだ──私は手近な本を手に取った。やや薄めの本だ。 題名に目を落とすと、そこには── 『♂×♂美人総受け~学園編~』 その題名を見た瞬間、何も言わずにスッと元の場所に戻す。──・・・・・慣れ親しんだものだが、題名があからさま過ぎる。 「・・・・・、なんでもありそうだね、ここ」 何故やおい本(こんなもの)がここにある、というツッコミは置いておいて・・・・・見なかったことにした私は、取り敢えず奥へと進んだ。 壁一面の本。その連なる景色が淡々と続く。 最初に知っておきたいのは、自分の種族についてだ。エンシャは魔族だと言っていたが、普通の魔族に角の模様はないという。 となると、あのオークのような『変異体(ヴァリアント)』という可能性も十分にある。 ───その場合、普通の魔族とは何が違うのか。それとも、何か特殊な能力があるのか。 〝他にも仲間はいるのか〟 「・・・・・『第1級~3級魔法全書』『スライムでも出来る魔力の練り方』『堕とす!!料理の作り方』──」 ───・・・・・おい、最後の1冊だけジャンルが違くないか・・・・・!? 堕とす・・・・・堕天でもさせるのだろうか。ちょっと気になる。
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