16.出会い

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あれでもない、これでもない──と、そうして歩き回ること数十分。 あまりにも膨大な量の本に、私はへたり込んでいた。ごしごしとローブの袖で目を(こす)る。 ───・・・・・見つからないってこれ・・・ 下段を探すだけでも(精神的に)疲れるのに、上段も探すのは無謀というものだろう。 当然、この世界に図書館にあるようなパソコンはなく──そうなれば、自力で探さなければいけないわけで・・・・・ 「・・・・・それは無茶な話だな」 そんなことは馬鹿でもわかるというもの。 雲行きが怪しくなりため息をつく。このままでは、時間がかかり過ぎてしまう。 どうしたものかな、と悩んでいると、クライシュとは違う魔素の気配が近づいてきた。 少しして、何やらクライシュが止めるような声も聞こえてくる。 どちらも小声だが揉めているようだ。相手側の声は、クライシュとは違って少し高い。 ───・・・・・子供か? 「・・・・・・・・」 少し考えた結果、一応こちらの境界を周りと一定に馴染ませておく。これで視界に入りさえしなければ、そう簡単に見つかりはしないだろう。 恐らく危険人物ではないだろうが、まずは様子見だ。 ──子供にしては多めの魔素量。それは迷う事なく本棚の森を進み・・・・・立ち止まった。 真っ直ぐに目的の本の元へと向かい、それをその場で読む──そんな様子が容易に浮かんできた。 ふむ、と私は感心する。 ───・・・・・慣れてるな。 特に、迷いなく目的地に向かうその行動──何処にどんな本があるか分かっている証拠である。 推測に過ぎないが、クライシュと面識がある事も含めて考えると、多分この城の関係者だろう。 そして、この図書室の常連者でもある。 ──それに加え、もしも子供だとしたら選択肢はかなり絞られる。 ───・・・・・いや、一択かもしれない。 息を潜めた私の脳内に浮かんできた言葉。 〝ランバディア帝国 王子〟 それでほぼ間違いないだろう。
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