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───・・・・・人は5秒間見つめ合うと、〝好きだら見つめている〟と勘違いすると聞いたことがあるが(※諸説あり)、こんな簡単に照れてどうする。
何度も言うが、中身は成人女性である。ついでに言うとショタコンではない。
「・・・・・っだから、お前の名前はなんだ」
「──名前を聞く時は、まず自分からだよ?」
こてん、と上目遣いで小首を傾げれば、頬にも朱が差す。うわぁ・・・・・フラグが立ちまくりじゃないですかー。
自意識過剰なら万々歳なのだが・・・・・。
・・・・・いや、そもそもこの年齢でまともな恋愛が出来るのだろうか。
無論、恋愛対象は(中の人と)同い年かそれ以上。当然、その歳の差は15歳以上にもなる。
・・・・・、考えちゃいけないやつだなこれは。
「──おい!!」
「は、はいっ!?」
悶々と悩んでいたら、突然の大声が鼓膜を震わせた。
──なんだ急に、騒々しい奴だな。
「ちゃんと名乗ったのに、無視するな!!」
どうやら、言った通りに名前を教えてくれていたらしい。・・・・・自分の将来の不安で、全く聞いていなかった。
ここは素直に謝らなければ。
「えっと・・・・・興味が無くて聞いてなかっ──」
あっ、と口を塞ぐが既に遅し。少年の表情が見る見るうちに変わり、更に険悪な顔で睨みつけられた。
・・・・・流石に素直に言い過ぎたようだ。
──まずい、このままでは仲が悪いまま、ひとつ屋根の下で過ごす羽目になってしまう。
「わああ、ごめんなさい!! えっとその、もう1回・・・・・いい?」
今度はちゃんと聞くから、とダメ元で上目遣い。小さな両手を合わせてお願いをする。
それを見た少年は盛大なため息。仕方ねーな、と若干赤くなっている頬を掻いて答えた。
「僕はランバディア帝国第一王子、ベルセルト=ローゼンだ」
───・・・・・やはり王子か。
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