16.出会い

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「へぇー王子様だったんだぁ、すごいねー!!」 「・・・・・別に凄くなんかない」 無邪気に褒めると、何故かベルセルトは表情を暗くする。続いて、ボソッと呟いた言葉には、何処かしら重い影があった。 ───・・・・・ん? その変わりようが気になった私は、ベルセルトの顔を覗き込む。どこか苦しげなソレに、少し胸が締め付けられた。 「ベル君? どーしたの?」 そう聞けば、何でもない、とあっさり元に戻った。早く教えろと言うように腕を組み、返事を促すベルセルト。 ・・・・・その生意気な態度に変わりはないようで。 「とゆーか、誰がベル君だ」 「んーと、ベルセルトだからベル君。これから、ひとつ屋根の下で住むわけだし、呼びやすさは大切だよね!」 ね、と同意を求めるように微笑むと、グッと言葉に詰まるベルセルト。 言い返せずに流されていた彼だったが、ふとある事に気づいてハッとした表情になった。 「ここに住むだって!?」 こくん、と頷く。それは紛れもない事実である。 「私はコウ。つい先日、ウェルバートに雇われたんだ」 そう言えば、ベルセルトはとても意外そうな顔をした。信じられないという目付きで、私から目を離さないでいる。 「あの父様が・・・!?──しかも、コウって・・・・・闘技場を破壊したのはお前だったのか!?」 「ええっと、少ししか壊してないよ!? 少しだけだよ!?」 そこを勘違いしてはいけないわけでして。 その言い方だと、まるで全てを破壊したみたいじゃないか。失礼な、そんな破壊神のような真似はしない。 ──それよりも、何とまあ噂の早いこと早いこと。 まさか、全く関係の無い筈の王子にまで知られていたとは。・・・・・そうなれば、もはや知らない者はいない、と考えていた方が良さそうだ。 腕を組み、小さく呟くベルセルト。 「──・・・・・父様が雇ったんなら、大丈夫か・・・・」
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