16.出会い

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ひとまず疑いは晴れたようで、心做しか柔らかくなった表情でベルセルトは聞く。 「・・・・・で、コウはここで何をしているんだ?」 「──種族に関しての本を探してるの。とぉーっても古い本がいいんだけど・・・・・」 なかなか見つからなくてね、と苦笑。 「はあ?」 何でまたそんな・・・・・──そう言いたいのはよく分かる。・・・・・あからさまにそんな表情(かお)をしているしな。 幼女は絵本以外を読まないとでも思ったのか、少年よ。 拍子抜けしていたベルセルトは、暫く固まっていたが不意に我に返った。そうして、何も言わず足早にこの場を去る。 ───・・・・・んん? 何故か1人取り残された私は、ただ呆然と立ち尽くすのみ。何も言われていないのだから、どうしようもない。 どうすればいいのだろう、と途方に暮れていたが、直ぐにベルセルトは戻ってきた。 ──両腕に大量に積み上げられた本を、必死に抱きかかえて。 その1冊1冊が広辞苑のように分厚い。 身長を優に超える本のタワーがグラグラと揺れる度に冷や汗をかいた。 見ているこっちがハラハラする。 「ちょっ、ベル君!? 危ないよ!?」 「・・・・・っこれぐらいへーきだ」 そんな声も強がっているようにしか聞こえない。 力持ちだというのは分かったが、流石にこれは危険だろう。 ふらふらと危なげに歩くベルセルト。──と、不意にその歩みが乱れた。 「──うぁっ!?」 かくん、と前のめりになる。当然、重力に抗える筈がなく── 頭上へと落下する本。それらを纏めて《固定》しようとした私の手が止まる。 それは、突然現れた別の魔素(けはい)。 「何やってるの、兄さん」 背後から聞こえてきた声と同時に、宙に放り出されていた本はその場で動きを止める。 ──後ろから伸びた魔素のようなものが、一つ一つの本を包み込んでいた。
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