16.出会い

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その声に狼狽えた様子のベルセルトは、気まずそうに伏し目がちで言う。 「わ、悪い。・・・・・その、大丈夫か」 「・・・・・、大丈夫大丈夫! ベル君もこんなにいっぱいありがとーね」 床に散らばった本──それは、全て『種族』に関するものだった。 あんな短時間の間に、ベルセルトは探してきてくれたのである。 ニコニコと笑顔を向けると、すっと目を逸らす。照れているのだろうか、頬が赤い。 「・・・・・べ、別に。・・・・、お前の為に探してきたわけじゃねーし! そこに、たまたま(・・・・)あっただけだし!!」 「・・・・・ぷはっ」 「な、に・・・・・笑ってんだ!!笑うな!!」 その顔が意外過ぎて、思わず素で笑ってしまった。ごめんごめん、と謝りながら口を押さえる。 ───そうか、ツンデレか、ツンデレなのか!! 「コウちゃん」 そんなベルセルトの照れる様子を楽しんでいると、それを見ていた弟君が間に割り込んできた。兄の視界を塞ぐようにして、前に立つ。 「ごめんね、兄さんは異性慣れしてないから・・・・・」 もう勘弁してやって?、と困ったように言う。どうやら弟君が言うには、ベルセルトは異性に対しては上手く接する事が出来ないらしい。 要は純粋(ピュア)だと。 ───・・・・・なるほど、道理で簡単に照れると思った。 そう言う弟君は慣れているようで、手慣れた様子で接してくる。 海を思わせるような蒼い瞳が覗き込んだ。その微笑みだけで、ほんわり暖かい気持ちになった。 ・・・・・こやつ、やるな。 「コウちゃんだっけ? 僕は第二王子、ルーシュ=ローゼン。よろしくね」 「うん!よろしくね、ルー君」 ニコニコと差し出された手を握る。──ルーシュも優しそうな笑顔を浮かべているが・・・・・それが表面上だけに見えるのは気の所為だろうか。 第一王子よりも第二王子の方が、油断ならない気がする。 ──と言うか、よりウェルバートに近い匂いがする。
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