16.出会い

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無系統型第4級魔法──中級に位置する転移魔法の〝構築〟自体はさほど難しくはない。基盤の消費魔力も然程(さほど)高くはない筈だ。 ──にもかかわらず、この魔法の難易度は高く設定されている。 理由の一つとしては、まず『距離に比例して増加する魔力消費量』が挙げられる。 言葉の通りだ、遠ければ遠いほど必要となる魔力は多くなる。勿論、転移する対象が増えても同じだ。 基礎消費魔力が中級1発に加えて、上級5発分──1km毎に、だ。 つまりは、移動の為となるとコストパフォーマンスが悪い魔法である。一般人では、圧倒的に魔力量が足りない。 それ故に、主には戦闘中に使われることが多い。 移動には、やや高価だが少しの魔力で済む『転移石』が使われている。 更にもう一つ。・・・・・この魔法には正確な座標認識が必要だということ。 声に出す必要はないが、脳内でそれを認識していなければならない。 もし、怠ってしまうと、身体がバラバラに転移されるという悲劇が起こる可能性が高まってしまう。 ───それをあっさり、弟君はやってるんだよなぁ・・・・・ あの歳で行えるのは、もう流石としか言いようがない。本当に優秀過ぎる王子だ。 ───これは思いの外、強敵かもしれないぞ・・・・・ うーん、と頭を抱えて唸る。ベルセルトは兎も角ルーシュの方は、私に良い感情を持っていないのは確かだろう。 この隔たりが変な事に繋がらなければいいが・・・・・。 仕方ない、と素直に諦めた私は、とりあえず自分の種族を探そうと本を読み始めた。 「・・・・・やっぱ、仲良くはしたいなぁ」
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