17.溝

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中庭に出ると、一際大きな風が吹き上げる。眩しいくらいの日光が、色を鮮やかに際立たせていた。 ──キラキラと輝く非現実的な景色は、2度目だというのにこんなにも。 地球とは違うこの世界は美しい。 ───・・・・・本当に、ここは。 目を細めて眺める私だったが、それはクライシュの呆れるような声で遮られた。 「・・・・・、何やってんすか」 ピクリと肩が跳ねる。ゆっくりと横を向くと、クライシュの怪訝そうな顔があった。 やっちまった、という言葉が顔に出る。・・・・・絶対何か思われている。 ──うっとりと中庭を眺めながら、故郷に想いを馳せていたなんて・・・・・絶対に言えやしない。 迷った挙句、恐る恐る小さく口に出す。 「・・・・・センチメンタルに浸ってたんだよ」 「へーえ・・・・・」 ───・・・・・言いたい事はわかる。わかるから、そんな目で見ないでくれ・・・・・ じーっと何か言いたげな目で、無遠慮に見てくるクライシュ。言いかけているその様子に、片手でストップと前に出した。 額に手をつき、引きつった笑顔で息を吐く。 「・・・・・わかるよ、言いたい事は十二分にわかる。どうせあれでしょ、5歳児らしくないって思ってるでしょ」 そう言うと、おお、という驚きの声と共にパチパチと拍手の音。 「良くわかったっすね!!」 「・・・・・、思ってたんかい」 ───・・・・・もう何も言うまい・・・・・ 膨らませた頬に赤みが差すのを感じながら、気恥ずかしくなった私は、ぐいぐいと自らクライシュの大きな手を引く。 こっちだったか、と記憶を頼りに進むと、左手側にガラス張りの建物が見えた。 ドーム状をしており、結構大きい。中には見た事のないような植物で埋め尽くされていた。 外から中が見えないソレに、つい足が止まる。 ──代わりに見えたのは、建物に収まりきらない程の巨大な白い魔素の塊だった。
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