17.溝

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その大きさは、ベルセルトやルーシュのソレよりも遥かに超える───あのSランク冒険者であるアルマダに匹敵するほどだ。 ──個人の魔力量は、成長と共に少しずつではあるが増加していく。 そう考えると、もしこれが子供であったら・・・・・。 ──ふと、この正体が気になった。 私はじっとその建物を見つめ、 「───ねえ、クライシュ」 と、後ろにいるクライシュに呼びかける。何すか、と返した彼に、建物に向けて指を指した。 「この建物は、なぁに?」 「え、あー植物園っすね・・・・・あんま、中は見えないっすけど」 だろうな、とは思っていた・・・・・が。 蔦が天まで覆い隠し、鮮やかな緑が視界を遮る。クライシュの言う通り、中はよく見えない。 出入口すら何処かわからない程だ。・・・・・この中に本当に人がいるのかも定かではない。 「・・・・・この中ってさ、誰かいるの?」 「この中っすか?」 んー、とドームを見上げながら、クライシュが考える。暫くして、思い出したようにハッとした。 しかし、その顔は曇っている。 とても言いたくなさそうに、 「・・・・・、心当たりがない訳では無いんすけど・・・・・」 と振り返るクライシュ。眉尻を下げる彼だが、遠慮なく私は聞いた。にっこりスマイルで、その顔を覗き込む。 「だーれ?」 「・・・・・ただの野良猫っすよ、野良猫」 「猫?」 思い浮かぶのは、地球でよく見かけるあのネコ(・・)だ。 人間じゃないの、と聞くと、人間っすよ、と返事が来る。 ・・・・・いや、結局どっちだよ。 じとー、とクライシュの手を引き、目線で訴えかける──早く言え、と。 そんな純真(・・)な思いが通じたのか、嫌そうな顔ではあるが渋々と、クライシュが口を開いた。 「──フィーさんの弟っす、多分」
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