5933人が本棚に入れています
本棚に追加
───────────────
「───皆様、お揃いで」
王宮のとある一室、厳かな雰囲気の中で一人の男性が重々しく口を開く。
──重苦しい空気は。纒わり付くような粘り気があった。
縦長のテーブルを囲んで着席するのは、いずれもランバディア帝国の重鎮に座する者である。
言い換えれば、長年皇帝の下でランバディア帝国を支えていた者───少なくとも、あのウェルバートに首を切られていない者だ。
勿論、そんな彼らにとって会議などは珍しい事ではない。・・・・・が、それは皇帝と共にした会議である。
───しかし、この場には皇帝の姿が無かった。
皇帝のあずかり知らぬ水面下で行われる集まり。──それが何を意味するのか。
一人一人の顔を確認し、一つ頷いた男性は挨拶もそこそこに本題へと移った。
「今日この場にお集まり頂いたのは、他でもありません──あの子供の事です」
その言葉で息の詰まるような緊張感が漂う。次いで、ざわついた空気を軽い咳払いで止めた。
「お静かに」
そうして、まるで事の重大さを体現するように、重々しく口を開く男性。鋭い眼光が、他の参加者を貫かんとする。
勿体ぶらずに男性は言った。
「単刀直入に言いましょう──アレは危険です。何かしらの処置が必要かと」
アレとは、突然やって来て規格外な力を披露した幼女の事である。
その場では見事としか言いようがないショーに、感嘆していたが、冷静に考えれば分かること。
〝反旗を翻されれば、危険分子となる幼女〟
やはり思うことは皆同じのようで、すぐさま同意の声が上がる。
最初のコメントを投稿しよう!