18.紅い月

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─────────────── 「───皆様、お揃いで」 王宮のとある一室、厳かな雰囲気の中で一人の男性が重々しく口を開く。 ──重苦しい空気は。纒わり付くような粘り気があった。 縦長のテーブルを囲んで着席するのは、いずれもランバディア帝国の重鎮に座する者である。 言い換えれば、長年皇帝の下でランバディア帝国を支えていた者───少なくとも、あのウェルバートに首を切られていない者だ。 勿論、そんな彼らにとって会議などは珍しい事ではない。・・・・・が、それは皇帝と共にした会議である。 ───しかし、この場には皇帝の姿が無かった(・・・・・・・・・)。 皇帝のあずかり知らぬ水面下で行われる集まり。──それが何を意味するのか。 一人一人の顔を確認し、一つ頷いた男性は挨拶もそこそこに本題へと移った。 「今日この場にお集まり頂いたのは、他でもありません──あの子供の事です」 その言葉で息の詰まるような緊張感が漂う。次いで、ざわついた空気を軽い咳払いで止めた。 「お静かに」 そうして、まるで事の重大さを体現するように、重々しく口を開く男性。鋭い眼光が、他の参加者を貫かんとする。 勿体ぶらずに男性は言った。 「単刀直入に言いましょう──アレ(・・)は危険です。何かしらの処置が必要かと」 アレとは、突然やって来て規格外な力を披露した幼女の事である。 その場では見事としか言いようがないショーに、感嘆していたが、冷静に考えれば分かること。 〝反旗を翻されれば、危険分子となる幼女〟 やはり思うことは皆同じのようで、すぐさま同意の声が上がる。
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