18.紅い月

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綺麗な緑色だった粘着質な体は、どす黒い赤色に染まり、大きさも個体によるが大きいもので10m級。 小さくても5mはある。 ・・・・・ここまで来ると、巨大な苺ゼリーに見えなくもないが・・・・・。 しかし、ゼリーに見えるその巨体から繰り出される攻撃は元の比ではない。 体内には強力な酸を保有し、それは全てを溶かし尽くす。そして、物理攻撃はすべて無効──完全な耐性が付いてしまう。 それに、下手に切りつけてしまうと、中から酸が吹き出る為、物理攻撃をしてはいけない。 有効だった魔法攻撃ですらも、炎属性以外は耐性が付き、ダメージがあまり通らない。 《赤スライムキング(紅月)》───滅多に出ないS級レアである。 強敵且つ希少な分、素材は高額。腕に自信のある者だけが、挑みに行く。 このレベルの魔物がいるのが『紅い月の日』、一年に一度の超大イベントだ。 因みに、当然の事ながら参加は自己責任である。 ───要するに、紅い月の日=儲け時、という事が一般常識となっているのだ。 しかしそれは、ソロランクA以上の冒険者のみに当てはまる事。 それ以下の外出は認められていないので、当然、ギルドにすら所属していない私には、関係の無い話だと思っていたのだが──
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