18.紅い月

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んんんー?と、疑うように顔を覗き込んだ私に、ニヤリとウェルバートは笑った。 そして、わざとらしく少し眉をひそめると、視線を逸らして言う。 「しかし、残念だな。討伐した魔物は好きにさせてやろうと思ったのだが───」 その言葉にピクリと動く眉。 好きにしてもいい、という事は売ってもいいという事。それは即ち、好きなだけ金を稼いでいいと。 ・・・・・そういう事か。 脳内で〝生命〟と〝お金〟が乗った天秤がグラグラと揺れる。・・・・・その答えは明らかである。 「ま、俺は子供に強制するほど鬼畜(・・)じゃないからな。参加は自由だ」 ───どの口がそれを言うんだ。 そう突っ込みたかったが、僅かな理性がソレを抑える。代わりに出たのは了承する言葉。 「喜んでやらせていただきます」 気づいた時には自然と口に出していた。肩をすくめたウェルバートの言葉を遮る形で言葉を挟む。 「───それでいいのか」 形ばかりの驚きの言葉とは逆に、予想通りだと言うような表情。・・・・・やはり計算込みだったか。 恐らくは自主的に言わせることで、諸々の保険を掛けたのだろうが・・・・・そんなことはどうでもいい。 グッと私は拳を握りしめる。 「大丈夫です!!」 先程とは打って変わった態度。嬉々として私は即答する。 頑張れば億万長者・・・・・とまではいかないだろうが、そこそこ稼げるに違いない。 ・・・・・どれ位稼げるのだろうか。 取らぬ狸の皮算用だとは自覚しているが、それを止められないのは事実。 私は指を折りながら、ニヤける口元を押さえた。 ───お金はあって困ることは無い。 ゴシゴシと手で涎を拭う私を見て、クライシュが冷ややかな視線を送ってくるが気にしない。世の中は所詮、金である。 ああ因みに、とウェルバートの呟き。その何度か見覚えのある笑顔には、もはや嫌な予感しかしない。
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