18.紅い月

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「──配置場所は王宮騎士団の横だ」 「・・・・・・・・」 ───・・・・・確信犯かコイツ。あんな事があったと知っているはずなのに。 うっ、と言葉が詰まった。そう言えば、と思い出されたのはつい先程の食堂での出来事。 ──〝化け物〟という言葉が頭から離れてくれない。 明らかに、向こうは私を歓迎してはいないだろう。むしろ、恐れているような・・・・・そんな視線を感じる。 上手くやれるのか、と聞かれたらその答えは否だが、これも仕事の内だと諦めるしかないだろう。 ・・・・・この機会に溝が消えてくれればいいが。 「──わかりました」と何とか言葉を絞り出すと、僅かな動揺を隠しながらそそくさと退場する。 廊下に出て一息ついた私に続いて、クライシュが出てきた。バタン、と背後で扉が閉まった音がする。 ──さて、紅い月の日まで残り一週間。 くるり、と一回転して振り返ると、不思議そうに首を傾げたクライシュを身体を向けた。 高揚する感情。戦闘以外で自分の力を試すのは久しぶりだ。 しかも、今回は新しい試みを試す事が出来るのである──『魔法』という新しい試みを。 くるりと回ったことでふんわりと揺れる黒髪に、裾が広がったローブ。服の下に隠してあるエンシャの鱗が、鎖と擦れてチャリと鳴る。 ──目を細めて私は笑った。 それは、心の底から楽しんでいる笑み。 「───さあ、戦力強化といこうか」
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