19.戦力強化週間

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そんなこんなでやって来ました図書室(書庫)。 紅い月の日に備えて戦力を強化しようと考えた私は、ふとある事に気づいた。 〝魔法、試してなくね?〟 森にいた時は、詠唱が適当だったのか出来ずに、結局後回しに。エンシャの元にいた時は、それよりも他の知識を優先的に教えて貰っていた。 そして、自分で訓練したのは専ら魔素変換のみ。──魔力があるにも関わらず、魔法を使ったことがないのだ。 幸いここには、魔法書がこれでもかという程ある。そういう訳で、とりあえず読んでみようか、と思い立ったわけだ。 「・・・・・うん、ここら辺かな」 よっ、とごっそり魔法書を引き抜くと、そこだけポッカリと大穴が空いたように本が無くなる。 ・・・・・因みに、取ったのは初級魔法に関しての本だけである。 「へーえ、初級魔法っすか」 「・・・・・いい加減、飽きてくれませんかね」 ひょいと覗き込んできた顔を、私は顰めっ面で見上げた。 どうやら、クライシュは私の〝戦力強化〟に興味津々のようで、こうして後を付け回されている。 ───全くもって迷惑極まりない。 しかしクライシュは離れること無く、鼻歌交じりに私の手元を覗いては、余計な一言を言ってきた。 「あんな凄い魔法を使えるのに、今更初級魔法なんすね?」 「・・・・・いやほんとに、余計なお世話なんですがそれは」 そりゃあ、あれは魔法じゃないから───とは言えない。クライシュの質問には答えずに、私は適当な場所で腰を下ろした。 ねーねー、と執拗く話しかけて来るのを無視し、1番上の本を手に取る。 さて初めは何かな、と表紙を見た私は、そこに書かれている文字を見て息を呑んだ。
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