19.戦力強化週間

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「『伝説上の希少種族』・・・・・?」 それは取った覚えのない本。本当に見覚えのない題名に、ん?と小首を傾げる。 確か魔法書しか抜き取っていないはずだが・・・・・。 「どうしたんすか?」 「───んーん、何でもないよ」 そう話しかけられ、さっと反射的にその本を懐に隠す。何となくだが、見せてはいけない気がした。 そのまま内ポケットの空間に仕舞うと、次の本へと手を伸ばす。 『初級魔法のススメ』という文字を見て、胸をなで下ろした。 こちらは間違えていなかったようだ。 何故か混ざりこんでいた本の存在を疑問に思いつつも、膝の上に分厚い本を乗せる。 ───そうしてページを捲り、パラパラと内容を頭に流し込むこと数時間。 疲弊しきった精神は、もう既に限界を迎えていた。 「・・・・・つっかれたぁ~!!」 伸びをしながらそう言えば、欠伸交じりに横にいたクライシュが返す。涙目になった目元を手で拭っていた。 何故か私以上にとても眠そうである。 「ふぁあ~・・・・・お疲れ様っすね~」 「なんで、何もしていないクライシュが眠そうなの・・・・・」 あふ、と欠伸を咬み殺すクライシュ。呆れて言った私の呟きは、まあまあ、と軽く流された。 寝起きだからか、何処か力の抜けた笑顔で聞く。 「目的は達成したんすか?」 「まーね、収穫は十分に(・・・)あったよ」 言いながら1冊の本を手に取る。クライシュにそれを見せると、「おおー」と感心された。 「『必携詠唱集~初級編~』すか!! そういや、王子たちも持ち歩いてたっすねぇ」 「・・・・・、因みに何歳の頃?」 「3歳っす」 「・・・・・・・・」 「その時にはもう、簡単な読み書きは出来てたっすね」 開いた口が塞がらないとはこの事か。・・・・・いや本当に何者なのあの王子たち。 私よりもよっぽど人外に相応しいのではないでしょうか。──もちろん褒め言葉ですとも、ええ。
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